抄録
野球打撃において,バットの芯で正確にボールを捉えることは非常に重要であるが,打撃の正確性を向上させるトレーニング手段は不明である.そこで本研究は,芯部が着色されたバットで行う打撃練習が野球打撃の正確性に及ぼす影響を明らかにすることを目的とした.男子大学野球選手を対象とし,トレーニング群(Tr 群)8 名,コントロール群(Con 群)8 名に区分した.トレーニングは,打撃投手から投じられるボールを打撃するものとし,Tr 群は芯部が着色されたバット使用し,Con 群は着色されていないバットを使用した.両群ともに,20 球× 2 セットを週に3 回,4 週間に渡って計12 回のトレーニングを行った.トレーニング前後で光学式3 次元動作解析システムを用いて打撃測定を行った.得られたデータから,インパクト位置(打撃の正確性),スイング速度,打球速度の分析を行った.その結果,Tr 群は打撃の正確性およびスイング速度が有意に向上した.一方,Con 群は打球速度のみ有意に向上した.以上の結果から,芯部を着色したバットを用いた打撃練習は,通常のバットを用いた打撃練習よりも打撃の正確性およびスイング速度を向上させることが示唆された.