スポーツパフォーマンス研究
Online ISSN : 2187-1787
自然温度計式およびセンサー式におけるテニスコートのWBGT 評価の違い
山口 寛基森 隆彰花野 宏美大石 寛池上 健太郎山本 結子石井 好二郎
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ジャーナル オープンアクセス

2025 年 17 巻 p. 306-314

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抄録
暑熱環境の計測をする上で使用されている指標としてWBGT があるが,多くのスポーツ現場で用いられている湿度センサーを使用した WBGT 計(センサー式)は,自然湿球を使用した WBGT 計( 自然温度計式) との間で誤差が生じることが指摘されている.しかしながら,異なる測定方法のWBGT 計を使用した場合,スポーツ時の暑熱環境評価にどのような影響を及ぼすかについてサーフェスごとに検証はされていない.我々は様々なサーフェスで試合が行われているテニスにおいて,自然温度計式およびセンサー式におけるテニスコートのWBGT評価の違いを検証した.夏季の3 ヶ月にわたる測定の結果,いずれのサーフェスでも両測定方法では妥当性を有する一方,センサー式ではWBGT の上昇に伴い実際の暑熱環境を過小評価してしまうことが明らかとなった.運動は原則中止レベル( 31 ℃≦ WBGT) の環境下において,ハードコートでは過半数のデータで運動指針レベルの誤分類が生じていた.厳しい暑熱環境下で測定を行う際は,センサー式の場合,積極的な暑熱対策を実施することや湿球温度の補正も進めていく必要が示された.
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© 2025 日本スポーツパフォーマンス学会
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