スポーツパフォーマンス研究
Online ISSN : 2187-1787
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  • 未熟練者との比較からみた技術検討
    東山 昌央
    2025 年 17 巻 p. 48-58
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/02/04
    ジャーナル フリー
    電子付録
    本研究の目的は,登山熟練者と未熟練者の階段における昇段動作の違いを明らかにすることであった.そこで,男性登山ガイド1 名(熟練者)と,登山経験の少ない男性1 名(未熟練者)を対象に階段歩行実験を実施し,動作分析法により両者の違いを分析した.1)熟練者は未熟練者と比較して,股関節の伸展範囲が大きいことが確認された.また,重心の挙上時に,伸張- 短縮サイクル運動により,重心を効率よく挙上している可能性が確認された.2)熟練者は,足部接地後に,身体重心速度が抑制される局面がみられた.歩行動作のなかに筋の緊張を解く局面を設けることで,筋疲労の蓄積を効率よく抑制している可能性が考えられる.3)熟練者は,足部離地時における足関節の底屈動作が小さいことが確認された.これにより,転倒につながる蹴り出し動作を抑制し,安定性の高い動作を実現していると考えられる.以上,熟練者は,股関節の伸展,および伸張- 短縮サイクルの活用により,効率よく昇段動作を行っていること,動作のなかに筋疲労の蓄積を抑制する停止局面を設けていること,蹴り出し動作を抑制した安定性の高い動作を実現していることが可能性として考えられる.
  • 山口 裕太郎, 秋山 央
    2025 年 17 巻 p. 24-47
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/01/29
    ジャーナル フリー
    日本のバレーボール戦術の発展のためには,世界レベルの分析も重要であるが,国内に目を向けることが必要である.そこで国内トップカテゴリーのV リーグ(2019 ‐ 20season)を対象に,勝敗への影響が大きいとされる「アタック」について,試合の勝敗との関連を分析した.アタックを状況別に細分化し,項目ごとに分析することで,チーム作り等の指針を得ることを目的とした.結果では主に,レセプションの返球状況が良いインシステム時のクイックの使用,決定力,失点に関する項目と,攻撃状況に関わらず,ライトサイドでアタックを行うオポジットの試合を通じた働きが勝敗に大きく影響することが示唆された.攻撃状況が整ったときにクイックを使って得点をとり,乱れた状況下でオポジットが得点をとれるチームが試合に勝つ.国内のバレーボール構造を明確にした点で,非常に有意義な研究であったと考えられる.V リーグにおけるオポジットは外国籍選手が多く, 外国籍選手の能力がチームの勝敗を決定付けているといっても過言ではない.この研究を基に国内で勝つだけでなく,世界に通用するバレーボール構造を考えていく必要があるだろう.
  • 志々目 由理江, 藤田 英二, 小澤 雄二, 中村 勇
    2025 年 17 巻 p. 17-23
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/01/24
    ジャーナル フリー
    本研究は柔道選手における前腕筋群へのアイシングが,組み手時の相手柔道衣への把持時間に与える影響を検証することを目的とした.大学生女子柔道選手7 名(年齢:20.0 ± 1.2 歳,競技歴:12.3 ± 2.5年)を対象とし,前腕筋群の疲労を惹起させる課題運動と,実際の試合を想定した視覚障害者柔道ルールによる模擬試合を5 分間の休息を挟み行わせた.休息間に前腕筋群をアイスバスに浸すアイシング条件と,座位のみの安静条件の2 条件間で,模擬試合での引手側が切られた際の「始め」から「待て」までの柔道衣把持時間と,引手側が切られた回数を比較した.その結果,アイシング条件の柔道衣把持時間は安静条件よりも有意に長く(アイシング条件:18.8 ± 6.2 秒,安静条件:13.9 ± 3.9 秒),引手を切られた回数(アイシング条件:11.0 ± 2.6 回,安静条件:16.0 ± 5.4 回)も減少していた.これらの結果から,実際の柔道競技大会においても試合間に行う前腕筋群へのアイシングは,前腕筋群の疲労に対するリカバリー法として有効であり,試合時における組み手時の把持筋持久力低下を防げる可能性が示唆された.
  • 東京オリンピック日本代表選手を対象に
    碩山 莉穂, 山下 龍一郎, 金高 宏文
    2025 年 17 巻 p. 1-16
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/01/15
    ジャーナル フリー
    体操競技のターン技に関する研究知見や指導書は今から30 年以上前のものが多い. 30 年前と現在ではルールや技が大きく異なり,それに伴って技術や捌き方も変化している.そこで本研究では,平均台種目のしゃがみ立ち3 回ターンに関して,習熟者における動感の実践知を明らかにすることを目的とする.対象者は2021 年東京オリンピック日本代表選手1 名とし,聞き手2 名によるインタビュー調査を行った.インタビュー調査の結果,対象者の当該技の動感の構造が明らかとなり,腕の振り動作が技の成否を左右していると推察された.なお,対象者は軸を崩さないために腕の振り全般の動作を最大限の大きさやスピードで行わず,浮脚の振りも使って回転力創発を補っていたことが明らかになった.
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