抄録
剣道やなぎなたのような武道種目では,打突の有効性は審判が「気剣体一致」という観点から評価する.本研究ではなぎなた競技を対象として,審判資格保有者が気剣体のできばえについて,Visual Analog Scale (VAS)を用いて定量的に評価することを試みた.またその結果をもとに,トレーニングへの示唆を得ることを目的とした.対象者は大学女子なぎなた競技選手9 名とし,4 種類の打突を各15 本ずつ行わせた.各打突を3 名の審判者が「気」「剣」「体」からなる9 つの項目に対して,100mm のVAS を用いて評価させた.その結果,無効打突時の評価値はすべての項目で,有効打突時よりも有意に低値を示した.特に無効打突時の「打突部位の正確性」「打突の重さ」の評価は低く,有効打突時との評価値の差が大きかった.この傾向は4 種類の技に共通していた.したがって,審判者が大学生レベルの競技者の有効打突を判定する際には,「打突部位の正確性」「打突の重さ」の2 項目についてより差別化した評価をしていることが示唆された.以上の結果から,1)気剣体のできばえはVAS を用いることである程度定量的に表しうること,2)競技者は稽古の際に「打突部位の正確性」,「打突の重さ」を重点的に改善していく意識を持つことで,打突の改善をより効率よく図れる可能性があること,の2 点が考えられた.