根の研究
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原著論文
清里町江南地区における根系分布と土壌窒素動態からみた秋播きコムギの低収要因
伊藤 博武吉岡 千夜柴田 敏光佐藤 文洋吉田 穂積
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2014 年 23 巻 4 号 p. 91-98

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抄録

清里町江南地区の秋播きコムギは,早期枯れ上がり等により町平均の8~9割程の収量水準であったことから,圃場毎の土壌断面や根系分布調査をもとに低収要因を分析した.その結果,江南地区の圃場では火砕流堆積物(Km-5a層) により根の伸張が抑制されていた.そして,浅根化は低収を誘引していると考えられた.根の重心を表すRDI 値は単収との間に5%水準で有意な正の相関関係が認められた.また, 土壌硝酸態窒素量の調査により,江南地区における浅根型圃場では硝酸態窒素の主な吸収範囲はKm-5a 層の上位層までであり,硝酸態窒素の流亡速度も著しく速いことから,硝酸態窒素の吸収範囲が狭く吸収時間も短くなると考えられた. 以上の結果から,江南地区の低収には,コムギの浅根化と窒素供給力が関係していると考えられた.

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© 2014 根研究学会
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