老年社会科学
Online ISSN : 2435-1717
Print ISSN : 0388-2446
原著論文
高齢者の救急搬送における転倒事故の特徴に関する研究
―― 等質性分析を用いた検討 ――
山中 克夫梶原 元紀河野 禎之天野 貴史嶌津 豊
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2008 年 30 巻 1 号 p. 40-46

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抄録

 本研究では,救急搬送における高齢者の転倒事例について,等質性分析を用いて包括的に特徴をとらえることを目的とした.対象は茨城県土浦市における2005年度救急搬送事例のうち転倒に関する224件であった.等質性分析により抽出された2つの次元のうち,次元1は発生場所や性別,次元2は受傷の部位,程度等の要素にそれぞれ特徴づけられるものであった.また,これら2つの次元における各構成要素の布置の状態から,「比較的活動範囲の広い前期高齢者あるいは飲酒の機会の多い男性によって,野外で歩行中に生じるタイプ」「活動範囲が狭まった後期高齢者や筋力の落ちた高齢女性に多い,住宅内において生じた中等傷に至るタイプ」「超高齢者によるトイレに行って戻る,立ち上がるといった基本動作の際に生じ,ときとして下肢を骨折し重傷に至るタイプ」「座る・横になるなどの際に生じた軽傷のタイプ」の4つの転倒タイプが存在することが示唆された.

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© 2008 日本老年社会科学会
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