2009 年 31 巻 3 号 p. 366-377
老年学(含む社会老年学)における生きがい研究は主観的幸福感(Subjective Well-being;SWB)により代用されてきた.しかし,「生きがい概念」とSWBの相違はよくわかっていない.本研究の目的は,生きがい概念の構造(仮説)を構築し(研究1),その仮説を検証し(研究2),SWBとの相違点を考察することである.研究1では,60歳以上退職者を対象に因子構造を探索的に抽出しモデルを構築した.続く研究2では異なる集団を対象に確認的分析にてモデルの適合を検証した.最後に,先行研究を含めて概念整理を行い,SWBとの相違点を考察した.その結果,「生きがい概念」はSWBより広範な概念で,時間性では「未来」の方向に,関係性では「社会的」の方向に広がりをもっているといった相違点が明らかとなった.SWBを単に援用しただけでは,「生きがい概念」の独自の部分が見落とされる恐れがあり,両概念を区別することが今後の研究には不可欠であると結論した.