2010 年 32 巻 1 号 p. 48-55
介護施設で看取りを行ううえで,新人介護職員へのサポートが課題である.サポートを検討する際には,介護職員の内面に注目し,看取りをどのように体験しているのかを明らかにすることが重要である.本研究では,特別養護老人ホームに勤務する新人介護職員4人に半構成面接を行い,修正版グラウンデッド・セオリー・アプローチを用いて分析し,新人介護職員の看取り体験の仮説モデルを作成し,モデルの活用によって考えられるサポートのあり方を検討した.その結果,新人介護職員は,看取りの経験から【自分の死の受け止め方の気づき】をもたらすと感じて,【看取りを経験することは有意義】であると,〔自分にとって看取ることの意味づけ〕をしていた.看取り介護の実施においては,【看取り介護の目標】を考えるが,【介護の行き詰まり】と【次の看取りへの不安】を感じ,【他のスタッフのサポートを期待】するというように,〔自分が看取り介護を行ううえでの課題と対処〕をしていることがわかった.これらから,新人介護職員へのサポートにおいては,介護職員と看護師でそれぞれ違う役割をになって,不安を解消することが重要であると考えられた.