老年社会科学
Online ISSN : 2435-1717
Print ISSN : 0388-2446
原著論文
有配偶女性の就労と妻の親への介護意向
── 別居子の意識とその規定要因 ──
中西 泰子
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2011 年 32 巻 4 号 p. 413-421

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抄録

 本論文の目的は,女性の就労と老親介護意向との関連を明らかにすることにある.そのため,妻の親および夫の親それぞれに対する将来的な介護意向の規定要因を検討した.「消費生活に関するパネル調査」の10年度目(2002)データを用いて,65歳未満の親をもち,夫方妻方どちらの親とも同居していない有配偶女性を分析対象とした.従属変数は,妻の親および夫の親への介護意向であり,独立変数としては,妻就労状態および妻年収を用いる.統制変数としては,親との居住距離,子どもの有無,妻年齢,きょうだい構成,夫年収,都市規模,両親共に健在か否か,を用いる.

 分析の結果,女性の就労および年収は,夫の親に対する介護意向とは関連していないが,妻の親に対する介護意向と関連していることが示された.妻が就労している場合,そして年収が多いほど,妻の親への介護意向が強くなっていた.分析結果からは,夫婦の勢力関係が,妻の親との関係に影響を及ぼしていることが推察される.

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© 2011 日本老年社会科学会
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