2011 年 33 巻 1 号 p. 15-22
社会的サポートは,日常的な手助け,悩みの相談など人間同士がやりとりする支援であり,これらのサポートの授受は,健康に良好な影響を与えることがわかっている.しかし,サポート授受の相手によりその影響が異なるか否かについては必ずしも明確ではない.本研究では,2003年に一般高齢者を対象に行ったAGESプロジェクトのデータ(n=32,891)を用い,サポート授受の相手と抑うつの関連について検討を行った.サポート授受の相手として,同居家族,別居の子や親族,近隣・知人・友人の3種類を用いた.うつ(GDS15項目版で5点以上)の有無を目的変数,年齢,疾患の有無,配偶者の有無,独居の有無を共変量に,性別にロジスティック回帰分析を行ったところ,サポート授受の相手にかかわらず,相手がいる高齢者は抑うつが少なく,独居など同居家族からのサポートが得られない状況であっても,それ以外の人々とのサポートの授受が高齢者の抑うつを防ぐ可能性が示唆された.