2011 年 33 巻 1 号 p. 3-14
本研究の目的は,臨床動作法の観点から,高齢者の立位バランスと心理的適応との関係性を,バランス測定装置と質問紙を用いて検討し,その関係性について仮説的モデルを示すことである.測定する心理的特性としては,臨床動作法の先行研究から,ADL,Locus of Control(LOC),状態不安,主観的幸福感を採用した.
高齢者100人をバランス測定装置の測定結果から,バランス良好群と不良群に分け,上述の尺度得点を群間で比較したところ,バランス良好群は不良群に比べ,ADL,LOCにおける内的統制傾向,主観的幸福感が高く,状態不安が低いという結果が得られた.さらに,相関分析および偏相関分析,重回帰分析,構造方程式モデリングの結果から,高齢者の主観的幸福感に直接的な影響を与えているのはLOCと状態不安といった心理的特性であるが,ADLや立位バランスといった身体的制御機能はLOCや状態不安に影響を与えており,主観的幸福感に対し間接的な影響を与えている可能性が示唆された.