老年社会科学
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資料論文
高齢者見守りセンサーに関する研究の現状と課題
小池 高史野中 久美子渡邊 麗子深谷 太郎藤原 佳典
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2012 年 34 巻 3 号 p. 412-419

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抄録

 見守りセンサーに関する研究で,これまでになにが検討され,明らかにされてきたかを把握しようと試みた.「CiNii」「PubMed」を用いて検索された研究のなかで,見守りセンサーと関係のあるものを抽出した.和文の論文は90編あり,2002年以降,顕著に論文数が増加していた.各論文が掲載されている雑誌の属する分野は,医学・看護学分野と工学分野に分けられたが,工学分野での研究が大半を占めていた.英文の論文は77編あり,2000年代後半以降に急増していた.検索された研究の多くは,センサー機器やセンサーを用いた見守りシステムの開発を報告するものや,センサー自体の機能を検証するものであった.少数の医学・看護学系研究においても,その対象や検討範囲は限定されていた.今後は,見守りセンサーによって高齢者のADLやIADLといった生活機能が維持されるかどうかという点に加えて,主観的幸福感や生活満足度が向上するかなどという心理的側面の検討も必要だと考える.

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© 2012 日本老年社会科学会
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