老年社会科学
Online ISSN : 2435-1717
Print ISSN : 0388-2446
原著論文
高齢者の生活に満足した社会的孤立と健康寿命喪失との関連
―― AGESプロジェクト4年間コホート研究より ――
斉藤 雅茂近藤 克則尾島 俊之近藤 尚己平井 寛
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2013 年 35 巻 3 号 p. 331-341

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抄録

 高齢者の社会的孤立のなかでも,生活に満足した状態と考えられる孤立と健康寿命喪失との関連を分析した.調査は2003年10月に愛知県知多半島6自治体の高齢者を対象に行われ,その後,4年間にわたって要介護状態への移行状況を把握した.ここでは,2003年の時点で身体的に自立していた13,310人について分析した.同居者以外との対面・非対面接触のいずれもが月に1,2回以下を孤立とし,生活に満足している群を満足孤立とした.孤立高齢者の4人に3人程度は満足孤立に該当すること,性別や年齢,治療疾患の有無などにかかわらず,孤立高齢者は1.34(1.18〜1.53)倍,要介護状態への移行リスクが高いこと,孤立と生活満足度に有意な交互作用効果は認められないが,男性高齢者の間では満足孤立でも1.27(1.02-1.58)倍,要介護リスクが高いことが示された.本研究で得られた集団寄与危険割合が全国でも一致するならば,全国の年間新規要介護認定者のうち,1.1万人程度が生活満足度は高い孤立状態によって生じている可能性があることが示唆された.

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© 2013 日本老年社会科学会
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