2013 年 35 巻 3 号 p. 321-330
中高年者の就業や高齢期就業に対する意識がその他の社会参加行動に与える影響を検討することを目的とし,千葉県柏市在住の55歳以上を対象とした(n = 1,133)調査データを分析した.65歳未満の半数以上が働いており,高齢期の働きかたについては6割が「壮年期より軽い働き方,低めの収入で働き続ける」を希望した.仕事以外の社会活動への参加を従属変数としたロジスティック回帰分析の結果,男性ではフルタイムで雇用されていないほど,また「ある程度の年齢になったら収入の伴う仕事は辞める」を希望するほど,参加確率が高かった.女性ではフルタイムまたはパートで雇用されていると参加確率が低かった.フルタイムで仕事を続けること,また現役を続行したいという意識が仕事以外の社会参加を抑制することが示唆された.中高年者の働き続けたいという意欲を生かしつつ,その幸福に最大限寄与する働きかた,社会とのかかわりかたを検討していく必要がある.