本研究は,都市高齢者の非常時(災害時など)と日常における近隣との支え合いへの意識と,近隣との関わり方との関連を明らかにすることを目的とした.横浜市に居住する65歳以上の市民のうち,住民基本台帳より無作為に抽出された2,800人に対し,郵送法による自記式アンケート調査を実施した.このうち,分析に用いる変数に欠損のない1,477人を対象に分析を行った結果,①あいさつやサポートの授受など,かかわる近隣の他者のいない人は男性で多いこと,②男性の近隣との支え合いへの意識は,非常時では家族資源の存在が,日常では社会経済状況が影響を及ぼすこと,③あいさつをときどきする,町内会・自治会活動に年数回程度の参加でも,近隣との支え合いへの意識を高めていることが示された.都市部の高齢者が支え合う地域社会のあり方を考えるうえで,これらの弱いかかわりにも目を向けていくことが必要である.