老年社会科学
Online ISSN : 2435-1717
Print ISSN : 0388-2446
原著論文
都市高齢者の近隣との関わり方と支え合いへの意識
― 非常時と日常における近隣への意識に着目して ―
澤岡 詩野渡邉 大輔中島 民恵子大上 真一
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2015 年 37 巻 3 号 p. 306-315

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抄録

 本研究は,都市高齢者の非常時(災害時など)と日常における近隣との支え合いへの意識と,近隣との関わり方との関連を明らかにすることを目的とした.横浜市に居住する65歳以上の市民のうち,住民基本台帳より無作為に抽出された2,800人に対し,郵送法による自記式アンケート調査を実施した.このうち,分析に用いる変数に欠損のない1,477人を対象に分析を行った結果,①あいさつやサポートの授受など,かかわる近隣の他者のいない人は男性で多いこと,②男性の近隣との支え合いへの意識は,非常時では家族資源の存在が,日常では社会経済状況が影響を及ぼすこと,③あいさつをときどきする,町内会・自治会活動に年数回程度の参加でも,近隣との支え合いへの意識を高めていることが示された.都市部の高齢者が支え合う地域社会のあり方を考えるうえで,これらの弱いかかわりにも目を向けていくことが必要である.

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© 2015 日本老年社会科学会
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