老年社会科学
Online ISSN : 2435-1717
Print ISSN : 0388-2446
37 巻 , 4 号
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原著論文
  • ―― 介護者と被介護者の続柄および性別による検討 ――
    矢吹 知之, 吉川 悠貴, 阿部 哲也, 加藤 伸司
    2016 年 37 巻 4 号 p. 383-396
    発行日: 2016/01/20
    公開日: 2019/11/29
    ジャーナル フリー

     認知症高齢者を介護する家族自身の,介護生活中における高齢者虐待の蓋然性自覚を属性および性別ごとに明らかにしたうえで,その支援方法について検討した.家族介護者を対象に実施した質問紙調査819人の自由記述をテキストマイニング手法にてカテゴリを生成し,コレスポンデンス分析にて虐待の蓋然性自覚の生起要因について続柄および性別の特徴を読み取った.その結果,「夫が妻」「息子が母親」が「介護放棄」の蓋然性を自覚しづらい傾向であった.続柄による生起要因の特徴は,夫婦間の介護は,将来の不安を感じることで介護放棄の蓋然性を自覚すること,娘が母親では,父親を介護するよりも蓋然性を自覚する要因が多いこと,また嫁が介護する場合サービス利用の拒否が他の続柄に比べ負担となることが明らかになった.息子では被介護者の性別により生起要因が異なることが示された.概して専門職による虐待未然防止には,一括した家族支援策ではなく被介護者との続柄と性別を意識した対応の必要性が示唆された.

  • ―― 管理職に対する調査から ――
    平松 万由子, 新野 直明
    2016 年 37 巻 4 号 p. 397-405
    発行日: 2016/01/20
    公開日: 2019/11/29
    ジャーナル フリー

     グループホームにおける高齢者終末期ケア実践に関連する要因について明らかにすることを目的とした.全国のグループホームから無作為に抽出した事業所の管理職を対象とした質問紙調査を行い,297人について分析を行った.終末期ケア実践の可否を目的変数,可否に関連する要因を説明変数とし,ロジスティック回帰分析を行った.グループホームにおける終末期ケア実践は,事業所の終末期ケア提供方針が積極的であり,医師の往診があり,医療連携体制加算を取っており,グループホームでの終末期ケア経験がある場合に可能である場合が多いことが明らかとなった.

資料論文
  • ── 要介護4,5の要介護者の家族介護者を対象とした横断調査 ──
    菅原 直美, 坂田 由美子, 高田 ゆり子
    2016 年 37 巻 4 号 p. 406-416
    発行日: 2016/01/20
    公開日: 2019/11/29
    ジャーナル フリー

     本研究の目的は,家族介護者の介護評価と居宅サービス利用状況との関連を明らかにすることである.対象は居宅サービスを利用中の要介護4,5の要介護者の家族介護者186人で,自記式質問紙調査を行った.調査内容は家族介護者と要介護者の属性,介護評価(認知的介護評価尺度),居宅サービスの利用状況(自己負担額,各サービスの利用の有無)であった.分析は居宅サービスの利用状況および属性により,介護評価の下位尺度得点の中央値をMann-WhitneyまたはKruskal-Wallis検定で比較した.分析の結果,訪問介護,訪問入浴,訪問看護,福祉用具貸与利用群の介護役割充足感,訪問介護,訪問看護,福祉用具貸与利用群の高齢者への親近感,福祉用具貸与利用群の自己成長感は非利用群に比べ有意に低いことが明らかとなった.利用する居宅サービスの選択には要介護者の寝たきり度と医療的ケアの必要性,家族介護者の在宅介護継続意志が影響している可能性が示唆された.

  • 林 雅美
    2016 年 37 巻 4 号 p. 417-427
    発行日: 2016/01/20
    公開日: 2019/11/29
    ジャーナル フリー

     高齢者の視覚機能と活動性との関連を明らかにするために,地域活動に参加している高齢者の視力および視覚補助具の使用状況,活動性について分析した.2013年7月,愛知県N市S区の地域健康づくりなどに参加している141人に依頼し,72人(51.1%)より回答を得た.遠見・近見視力0.5を基準とした2群と視覚補助具の使用状況による4群に分け,ADL,生活不自由感,IADL,転倒を従属変数とした比較を行った.結果,日常生活視力では,遠見視力は平均0.63±0.29,近見視力は0.44±0.21であった.近見視力の2群は,視覚補助具や読字,歩行に有意差があった(p < .05).視覚補助具の使用状況による4群は,近見視力と生活不自由感に有意差があった(p <.05).近見視力と歩行や読字を含めた生活不自由感に関連が認められた.これらのことより,遠見視力は0.7程度,近見視力も0.5程度に維持矯正し,輻湊のバランスを抑えることが,不自由をさほど感じることなく生活が送れる可能性が示唆された.

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