2017 年 39 巻 3 号 p. 330-340
本研究の目的は,通所リハは利用者にとってどのような意味があるのかをとらえることである.対象は同一曜日に利用する36人で,参加観察を15日間行った.データをスプラッドリー(2010)にしたがって分析したところ,15のカバータームを抽出し,そこから包括的な意味をもつ5つのテーマが生成された.利用者は健康への積極的な行動や,心身の苦痛を軽減する【障害に対処する】場として利用するのみでなく,【保障された場】として安心して外出し,仲間と【共同体の一員としてふるまう場】としてすごし,家ではできない経験ができる【ハレの場】として通所リハをとらえ,さらにその利用は習慣化された【暮らしの一部】となっていた.通所リハは利用者にとって,障害に対処するのみならず,社会の一員として活動できる場としての意味をもっていた.以上より,利用者を地域参加につなげる通所リハの役割は,利用者の視点からも意義あるものと示唆された.