2017 年 39 巻 3 号 p. 352-364
閉じこもりをもたらす同居家族の関わりチェックリストを開発することを目的とした.閉じこもり高齢者とその同居家族への予備調査から15項目を収集した.本調査は2014年4月,福島県C村在住で70歳以上の要介護認定を受けていない高齢者1,229人とその同居家族を対象とした.調査内容は,高齢者本人には,性,年齢,外出頻度,うつ傾向,生活体力指標,老研式活動能力指標,ソーシャル・サポート等,同居家族には,予備調査で作成した家族の関わりチェックリスト素案,性,年齢,精神的健康状態(WHO-5)をたずねた.2015年9月,高齢者本人に対し閉じこもりの発生の有無を追跡調査した.最終的な分析対象者は497人であった.新規閉じこもりの有無と家族の関わりチェックリスト素案15項目の関連について,基準関連的手法による項目分析により6項目を選定し,閉じこもりをもたらしやすい家族の関わりチェックリストを作成した(α=0.63).ソーシャル・サポート,WHO-5等との関連から併存的妥当性を確認した.また,本チェックリストのカットオフポイントを超える場合には,その他の要因と比しても約1年半後の閉じこもり発生が高いことを確認した.