高齢者の抑うつに関連する因子について,とくに口腔機能を,反復唾液嚥下テストと舌圧による客観的評価と,基本チェックリストの口腔機能の項目を用いた主観的評価の両側面を用いて検討することを目的とした.分析対象者は271人(平均年齢73.42±4.71歳)で,Geriatric Depression Scale-5のカットオフ得点に基づき46人(17.0%)を抑うつ群に分類した.年齢と性別の影響を調整したロジスティック回帰分析の結果,主観的評価による口腔機能の低下は,社会的ネットワークや運動機能と独立して有意に抑うつと関連していた.また,主観的健康状態の影響を考慮しても主観的評価による口腔機能は抑うつと関連を示した.以上の結果から,高齢者における抑うつには,社会的機能,運動機能,主観的健康状態とは独立して,主観的な口腔機能低下が影響していることが示唆された.とくに,基本チェックリストにおける口腔機能の項目が,幅広い機能のスクリーニングとして利用できる可能性が示された.