抄録
本研究は,地理的に離れた 2 校を共有メタバース環境で接続して実施された遠隔体育授業を対象とし,インクルーシブな学習環境がどのように構成され,児童の参加がいかに成立していたのかを明らかにすることを目的とした.授業映像,観察記録,児童の発話,ならびに教員インタビューを分析資料とする質的事例研究を行った.分析の結果,教員による指導役割の明確な分担が授業の円滑な進行を支え,特定の児童を活動から分離することなく多様な参加を可能にしていたことが示された.また,アバターを介した身体表象により,異なる学校に所属する児童が同一の学習集団として活動に参加しており,車椅子を使用する児童も他の児童と同様に活動へ関与していた.これらの結果から,メタバース環境は,体育における参加の在り方を再編成し,学校間を越えたインクルーシブな学習環境を支える媒介的な教育環境として機能する可能性が示唆された.