宗教研究
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論文
モノとパフォーマンスから見る宗教ツーリズム
京都市・晴明神社の事例
ミア ティッロネン
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2021 年 95 巻 1 号 p. 175-198

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抄録

近年、日本の寺社仏閣の観光地化がますます活発になっている。宗教と観光を主に表象化論として論じてきた既往研究に対し、本研究では物質的側面に注目する。京都市の晴明神社は、映画『陰陽師』の影響で、二〇〇〇年代以降急速に参拝客数を増加させ、それにともない境内の整備や安倍晴明伝説を具現化する銅像の設置などを行ってきた。多様な理由で同社を訪れる人々は、これらのモノに対して常識に基づく「正しい」行動だけでなく、様々な実践を行う。こうしたパフォーマンスにおいて、モノは単に実践の客体ではなく、むしろ、そうした行動を導くアクターとして捉え返せるのである。本稿では、パフォーマンス論と物質的宗教論の観点を導入しながら、神社観光における人、モノ、環境の相互作用に光をあててゆく。

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