日本における社会規範とは何か。宗教と社会の摩擦とはいかなるものか。一般的な命題は具体的な問題の考察から糸口が見いだせる。本稿では、統一教会が日本において社会規範と摩擦を起こした過程、すなわち統一教会問題の社会的構築を考察する。二節において統一教会史を概説し、教団批判や宗教研究が果たした役割を示す。三節で日本の政教関係を概説した上で、統一教会によるレント・シーキング活動の事例を国会の記録と北海道旭川市の事例から紹介する。最後に、統一教会が政治宗教として極東地域におけるアメリカと東アジアの戦略的連携を進めるエージェントとして活用されたことを確認しよう。
五〇年に及ぶ不作為の政治とメディアの無関心によって統一教会問題は放置された。安倍晋三元首相殺害事件に至って、日本社会は改めて問題の根深さに気づかされた。日本の宗教研究や日本の宗教界は、法律的規制に還元されない社会規範の視座を提示できるだろうか。