2020 年 10 巻 3 号 p. 139-152
医薬品医療機器等法で取り扱うレギュレーションは, 医薬品・医療機器等の薬事関連製品の開発, 承認審査, 製造および市販後の各段階を厳格に制御している. アカデミアにおいても, 医療イノベーションを達成するためには, 医薬品等の基礎研究・臨床研究を実施するにあたって, 薬事レギュレーションの熟知と遵守が求められる.
近年, AROはアカデミアにおける薬事関連製品などの新規開発を促進するため, 基礎研究から臨床研究・治験, 実用化までの工程を一貫して支援する組織として, アカデミアの内部に設置されるようになってきた. 特に, オープンイノベーションにおいては, アカデミアの役割が大きく期待されており, 大阪市立大学では, 「レギュレーションを制する者はイノベーションを制する」 をキャッチフレーズに掲げ, 各種ARO活動を精力的に進めてきた.
本稿では, アカデミアにおけるイノベーション創出に向けた取り組みとして, 大阪市立大学医学部附属病院にAROとして設置された臨床研究・イノベーション推進センターが担うイノベーション創出への取り組みの状況を紹介するとともに, イノベーションと相互浸透の関係にあるレギュレーションへのアカデミアの関わりについて考察する.