レギュラトリーサイエンス学会誌
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特集(新規in vitroアッセイ系の開発と医薬品評価への応用)
Microphysiological system開発を巡る世界動向—先端科学を患者さんの価値に変えるためのレギュラトリーサイエンスの重要性—
奈良岡 準
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2021 年 11 巻 1 号 p. 53-61

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抄録

製薬業界を取り巻く①研究開発における生産性低下, ②3Rsの進展, ③新規モダリティの台頭に加え, 先端科学を患者さんのために積極的に評価系に取り込むという規制当局の考えのもと, New Approach Methodologies (NAMs) の候補としてMicrophysiological system (MPS) が注目されている. MPSはマイクロ流体デバイスを用いて, 作製された微小な空間に, 生体 (in vivo) に近い培養環境を再構築したin vitro培養系のことを一般的には示す. 現在では欧米企業から複数の製品が実用化され, 世界中で販売されている. 今回そのMPSにおける世界的な研究開発動向, 各国におけるMPSに関する製薬業界の動向およびMPSを巡るレギュラトリーサイエンスにおけるグローバル競争の状況について記載する. この情報が先端科学を患者さんの価値に変えるために, その享受を医薬品の研究開発全体にいち早く展開するための戦略的な議論を始めるきっかけおよび製薬企業研究者の新たな役割について考えるきっかけとなることを期待する.

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© 2021 一般社団法人レギュラトリーサイエンス学会
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