レギュラトリーサイエンス学会誌
Online ISSN : 2189-0447
Print ISSN : 2185-7113
ISSN-L : 2185-7113
報告
医薬品の自主回収の状況
中田 雄一郎勢力 麻維
著者情報
ジャーナル フリー

2022 年 12 巻 2 号 p. 153-160

詳細
抄録

医薬品回収状況をまとめた報告は少ない.そこで2017年4月1日から2020年3月31日までの3年間を対象として,医薬品医療機器総合機構で公表されている自主回収情報を分析し,整理した.年度別の自主回収件数は,2017年度129件,2018年度150件,2019年度156件の総件数435件で,総回収品目数は701品目であった.先発医薬品,後発医薬品ともクラスⅡの自主回収件数がほとんどで,2019年はラニチジン製剤中の発がん性物質N-ニトロソジメチルアミンの問題で,重篤なクラスⅠの回収が増加した.剤形別自主回収品目数が最も多かった剤形は注射剤で,次いで多かった剤形は錠剤であった.回収理由は,異物混入44品目,規格不適129品目,承認書からの逸脱177品目,献血後情報にもとづく措置による回収79品目,不正表示68品目,容器不良34品目,承認書からの逸脱と規格不適の2つの理由で自主回収したものも7品目で,その他は163品目あった.主に後発医薬品を取り扱うメーカーに関して,取り扱い製品数と自主回収品目数の間に相関が認められた.

著者関連情報
© 2022 一般社団法人レギュラトリーサイエンス学会
前の記事 次の記事
feedback
Top