2022 年 12 巻 2 号 p. 221-231
経済協力開発機構(Organisation for Economic Co-operation and Development: OECD)において有害性発現経路(adverse outcome pathway: AOP)の開発が進められている.AOPは特定の毒性エンドポイントについて試験の結果や情報を組み合わせて化学物質の安全性を評価する,試験の実施と評価のための戦略的統合方式(integrated approaches to testing and assessment)の理論的基盤になることが期待されている.こうした国際的な動きの中で日本は積極的に免疫毒性に関するAOPおよびそれにもとづくin vitro試験法の開発を進めている.本稿では,AOPの基本的概念について概説した後,日本における免疫毒性に関するAOPの開発状況と,AOPがOECDテストガイドラインの理論的基盤となった例として皮膚感作性について紹介する.