レギュラトリーサイエンス学会誌
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特集(再生医療等製品の開発動向と課題)
再生医療等製品の条件及び期限付承認について
上村 俊雄
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ジャーナル 認証あり

2025 年 15 巻 3 号 p. 209-216

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抄録

 再生医療等製品が独自のカテゴリーとして認められてから10年以上が経過しており,2025年5月現在で20を超える再生医療等製品が日本で承認されている.2020年以降,その承認数は著しい増加を示している.このうち6製品は,再生医療等製品に特有の課題である製品の不均一性に対応しアンメットメディカルニーズを克服するために2014年の薬機法改正時に設計された条件及び期限付承認を受けている.本承認制度は,追加データの収集を条件に最大で7年間の期間を有し,患者への迅速なアクセスと継続的な安全性及び有効性評価を両立させる.国際的には米国FDAのAccelerated Approvalや欧州EMAのConditional Marketing Authorizationなど類似の制度が存在し,代替エンドポイントによる承認や承認後試験による検証で進められている.ガイドラインの発出により条件及び期限付承認の予測性は向上したが,承認後試験や調査による有効性の確認や保険償還,公的医療保険の持続可能性,承認取り消しに関する課題が残っている.それでも,日本の条件及び期限付承認制度は,再生医療における迅速なイノベーションの必要性と規制の厳格さを両立させる柔軟で革新的なアプローチとして広く評価されている.

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