2025 年 15 巻 3 号 p. 217-224
再生医療等製品の開発では,条件及び期限付承認制度における有効性の推定方法が不明確であり,本承認に足る検証的なエビデンスと有効性の推定を行う際のエビデンス・ギャップが大きいことが課題となっている.条件及び期限付承認制度は,本来あくまで本承認を見据えた開発戦略が前提となって機能するものと考えられる.試験のサンプルサイズ,エンドポイント,比較の方法といった試験デザインのギャップが過大であると,有効性を推定する時点で本承認の成功確率を見通すことは非常に困難になる.本稿では,アダプティブ・デザインにおけるPromising Zoneという考え方をヒントに,二重境界アプローチの適用を提案する.本アプローチは,事前にサンプルサイズを決め打ちしておく必要がなく,有効性の検証に対する成功確率を統計学的に評価することにより有効性の推定を行うことが可能である.また,有効性が明確であればサンプルサイズを最小限に抑え,無効な場合もより早期に中止することが可能という特徴を有する.Promising Zoneを早期に達成した場合には,条件及び期限付承認をめざして申請することも可能であるが,本承認をめざし拡大試験として試験を継続することも可能である.比較対照群の設定が難しい場合には,拡大試験のパートにおいて外部対照とランダム化対照とを併せた比較を行うHybrid Control法を適用したり,真のエンドポイントによる検証は困難でも,有効性の推定パートよりは臨床的意義の高いエンドポイントにもとづく検証へシームレスに移行することも一案と考える.本稿での提案は,より合理的な制度の活用方法についての科学的な議論へ貢献するものと期待したい.