抄録
本研究では, がん患者またはその家族を対象として, どのような緩和ケア情報を求めているかを明らかにするため, アンケート調査を行った. また, がん診療を実施している医療機関を対象として, どのような情報をホームページを通して公開しているかを明らかにするため, 調査を実施した. 患者及び家族の最も知りたいと思う情報は, 「入院費用」「平均待機時間」「病棟・病室の設備」という順であった. また, 患者及び家族に医療機関のホームページの閲覧について尋ねたところ, 年代を問わず約6割がホームページを利用して緩和ケア情報を閲覧していることが明らかとなった. このうち, 約3割が情報不足, 具体的内容の不足を理由に不満を多少なりとも持っていることから, 掲載情報を充実させることにより, 満足度の上昇が期待できると考えられる. また, 医療機関のホームページ実態調査において, 緩和ケアチームの設置など, 施設の診療体制が整っている医療機関の方が情報提供体制も充実している割合が高いことが明らかとなった. 掲載項目に関して, 「緩和ケアで使用する薬の説明」の掲載率は平成26年時点で3割以下に留まったが, 平成24年時点との比較においては増加傾向にあるため, 今後の掲載率上昇が期待される.