抄録
先進医療を支える創薬研究分野においては, 詳細な情報が付帯しているヒトの細胞・組織を使用した研究が欠かせない. 信頼性のある研究結果を得るためには, バイオバンクで集中的に管理されている試料を使用することが推奨される. 国内ではバイオバンクの設置は年々増加傾向にある. 試料の収集は積極的に行われているものの, 試料が供給されて研究利用されているケースはまれである. 試料の供給体制を整備するために「インフォームド・コンセント (IC) の内容」「試料に対する権利」「試料の品質保証」について検討が必要である. 筑波大学附属病院では平成25年11月につくばヒト組織バイオバンクセンターを設置した. 企業も含めた試料の分譲希望者からの申請を受け付け, 研究内容を院内の倫理委員会で審査後に試料の分譲を行っている. 説明文書ならびに同意書は包括的な様式で作成されている. 最近, ヒトゲノム・遺伝子解析研究に関する倫理指針や人を対象とする医学研究に関する倫理指針など, ヒト試料を研究利用にするためのガイドラインも改正され, 以前と比べてヒト試料の使用やバイオバンクの運営について制限が少なくなった. 当院の取組みがバイオバンクの抱える課題を解決し, 日本のバイオバンク事業が発展するきっかけになることを期待する.