2017 年 7 巻 2 号 p. 113-120
核酸医薬品は, 低分子医薬品や抗体医薬に次ぐ新たなカテゴリーの医薬品として, 近年大きな注目を集めている. 実際に承認された核酸医薬品はこれまでのところ世界的にも5品目と少ないものの, 国内外における核酸医薬品の臨床試験は現在百数十件にも達しており, その勢いは今後も衰えることはないであろう. しかし, 現在のところ核酸医薬品を主たる対象としたガイドラインは存在していないため, 核酸医薬品開発に関わる品質, 非臨床安全性, 臨床的特徴を整理し検討しておくことは核酸医薬品の研究開発を進めるうえで重要である. 本稿では, 核酸医薬品の開発の現状を概説するとともに, 核酸医薬品に関わるレギュラトリーサイエンス上の課題点について, 特に品質管理の立場から, 合成・精製, および分析上の課題, 化学修飾に基づく課題, 高次構造の管理などのいくつかのポイントについて議論する.