2017 年 7 巻 2 号 p. 91-97
北海道大学大学院医学研究科は, 厚生労働省のシーズ開発・ガイドライン作成・人材交流を目的とした研究事業に採択され, 事業実施機関のうちのひとつとして脳梗塞の再生医療に関するプロジェクトを行っている. 本プロジェクトによりアカデミアに蓄積される知識や経験を, 個々の人材や組織に蓄積されるに留めてしまうのではなく, 広く多くのアカデミアが入手・活用できる形とすることが重要である. そのため, 規制当局とアカデミアの両方の視点からプロジェクトを振り返り, アカデミアにおける開発の要点をまとめた. 振り返りの方法として, これまでのプロジェクトの進め方および定例会議の内容を整理したうえでグループディスカッションを行った. 抽出された主な要点として, プロジェクトの進行を遅らせた要因では薬事リテラシーの不足と開発チームの役割分担, よかった点ではプログラムオフィサーによるレビューと規制当局との対面助言が挙げられた. 改善策として専門性に基づく役割分担が考えられ, 今後の提言として治験が実施されている医療現場の情報の活用が示された. 今後, アカデミアが適切かつ迅速に開発を進めるために, 今回議論された点を考慮して開発を進めることが重要と考える.