2019 年 9 巻 2 号 p. 79-88
欧州製薬団体連合会 (EFPIA Japan) および米国研究製薬工業協会 (PhRMA Japan) の共同で, 外資系企業における再生医療等製品の開発に関する実態調査を行った. わが国では2014年11月に施行された医薬品医療機器等法により再生医療等製品が定義され, 条件及び期限付承認など革新的な制度が世界に先駆けて導入された. しかしながら, 外資系企業が率先してわが国での開発に着手するといった状況には至っておらず, 再生医療等製品に関する国内導入の現状ならびに開発上の諸問題を把握する目的でアンケートを実施した. 加盟会社33社のうち29社より回答が得られ (回収率88%), 海外本社にて再生医療等製品を有すると回答した企業は29社中14社 (48%) であった. この14社において31品目が海外にて開発中もしくはすでに上市済みであり, わが国に導入済みもしくは導入予定の品目は12品目 (39%) であった. 導入状況の詳細を調べたところ, 海外ですでに臨床試験が実施されている品目においては, 日本での開発ギャップが特に大きい傾向がみられ, 将来的なドラッグラグに繋がる可能性が危惧された. わが国への導入に際しては, CMC・品質管理に関連した問題点や懸念点を示す回答が最も多く, 遺伝子治療用製品におけるカルタヘナ法など日本独自の規制や再生医療等製品における事業化の不確実性を懸念する回答も多かった.