2019 年 9 巻 2 号 p. 89-93
臨床試験から得られるゲノムデータは, 薬物応答のばらつきの原因となっている遺伝子を特定することによる患者の治療最適化や, 疾患関連遺伝子の解明による新規創薬標的の同定など, さまざまな形で活用が期待される. これまで, 臨床試験から得られるゲノム試料の収集およびゲノムデータの取扱いに関して, 国際的に調和されたガイドラインは存在しなかった. このような背景のもと, ゲノム研究の関係者の間での相互理解を促進し, ゲノム研究の推進を奨励するため, 臨床試験におけるゲノム試料の収集およびゲノムデータの取扱いに関する国際的に調和された原則を示すガイドラインとして 「ICH E18ゲノム試料の収集及びゲノムデータの取扱いに関するガイドライン」 が策定された. 本稿は, 当該ガイドラインの概要およびその作成経緯について, ガイドライン作成にかかわった規制当局の立場から記載するものである.