2019 年 9 巻 3 号 p. 123-130
目的 : 薬学教育モデル・コアカリキュラムに規定された医薬品開発のレギュラトリーサイエンス (RS) に関する教育の実態を明らかにする. 方法 : 全国薬学部・薬科大学の2017年度シラバスから, 「医薬品開発教育に該当する科目」 を特定し, 履修学年, 単位数, 科目数, 履修区分, 一般社団法人薬学教育協議会のRS分野名簿へ登録された教員が講義をしている割合について集計した. 結果と考察 : データが得られた全大学において, 「医薬品開発教育に該当する科目」 が特定され, 78.2%の大学で必修科目とされていることから, 薬学部で医薬品開発教育が定着していることが確認され, その重要性が広く認知されていると考えられる. しかし, 単位数および科目数においてバラツキがみられることから, 教育内容の充実度は大学ごとに異なることが示唆された. 単位数, 科目数, RS名簿へ登録された教員が講義科目を担当する大学割合について, 私立大学が国公立大学よりも有意に高かった. このことより, 国公立大学よりも私立大学で医薬品開発の教育が充実している可能性がある. 結論 : 全国の薬学部においてRSに関する講義科目が定着していることが示された. 大学間での講義内容のバラツキを抑制するために標準カリキュラムを検討し, 国公立大学については特にRSを支える基礎教育のさらなる充実が求められる.