2019 年 30 巻 1 号 p. 29-39
持久性運動によって呼吸筋は疲労し 、 また 、 呼吸筋トレーニングによって呼吸筋の筋力や持久力が改善することが報告されている 。 しかし 、 呼吸筋を鍛えることが持久性運動のパフォーマンスに好影響を与えるか否かについてはまだ十分に統一された見解が得られていない 。 その原因の 1 つは 、 これまでの呼吸筋トレーニングが一般に静止状態で実施されており 、 専門とする運動中に呼吸筋トレーニングが実施されていないことにある 。 そこで本研究は競歩のトレーニング中にノーズクリップを用いた呼吸筋トレーニングを行うことが 、 呼吸筋機能やパフォーマンスへどのような影響を与えるかについて検証した 。 被験者は専門的に競歩のトレーニングをしている大学競歩選手 7 名であった 。 被験 者はノーズクリップをして競歩トレーニングをする A 群 (4 名 ) 、 ノーズクリップをしないで競歩トレー ニングをする B 群 (3 名 ) を無作為に選び 、 8 週間のトレーニングを行った 。 その後 A 群と B 群を入れ替え 、 再度 8 週間のトレーニングを行うクロスオーバー式のトレーニング実験を行った 。 その結果 、 実験群は吸気筋力が 23.6% 増加した 。 また負荷漸増法によるトレッドミル歩行テストでは 、 最高歩速度 (MWV) が 1.96% 、 換気性閾値における歩行速度 (vVT) が 4.07% それぞれ増加傾向を示したが 、 いずれの群においても有意な改善が認められるまでに至らなかった 。 しかし 、 vVT や MWV に改善傾向が認められたことから 、 トレーニング回数を増やし 、 また 、 強度や時間の漸増を図ることによってノーズクリップを用いた呼吸筋トレーニングがパフォーマンス向上に役立つ可能性が考えられた 。