安全工学
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ACGIH有害化学物質の許容濃度表(1974)
沼野 雄志
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1975 年 14 巻 2 号 p. 89-107

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抄録

この許容濃度度はAmerican Conference of Govemmental Industrial Hygienists(ACGIH)の1974年度空気汚染物質許容濃度委員会(1974 TLV Airborne Contaminants Committee)の発行した ,Threshold Limit Values of Airborne Contaminants for 1974をACGIH の Secretary-Treasurer William D.Kelly氏の許可を得て翻訳転載したものである.原本では有害物質を特に分類せずに化学名,商品名なども混用してアルファベット順に並べてあるが,本表では検索の便を考慮して有害物質を無機ガス,有機ガス,一般粉じんなど,鉱物性粉じんに分け,それぞれ50音順に配列した.有害物質の名称はできるだけ日本化学会編「化学便覧」の命名法によったが,他の名称が一般的に用いられている場合にはそれも併記し,いずれからでも検索できるようにした.許容濃度の原語Threshold Limit Valueは本来,閾値(いきち)というような意味の語であるけれども,その意義は前文に述べられているように,Maximum Allowable Concentration,Maximum Permissible Concentration(最高許容濃度),Permissible Limit(怒限度)と同じであるので,ここでは許容濃度というもっとも使い慣れた言葉を使用した.今年の許容濃度委員会で最も議論の集中したのは,今年初頭より発がん性の問題が取上げられた塩化ビユルについてであったが,結局労働省の規制を待つ形でこの表の中では未定とされた.そのほかの発がん性物質に関して新しい知見が加えられ,昨年変更予告の形で登場したA1a,A1bの分類が今年度から正式に採用された.また有機溶剤について大幅な見直しが行なわれベンゼンが10ppmとなったのをはじめ,イソホロン,オクタン,ブチルアルコール,ヘキサン,ペンタン等の許容濃度が引下げられた.有機溶剤以外ではカドミウム粉じん,ヒューム,ホスゲン等が大幅に引下げられた.今年は許容濃度委員会の決定が遅れ,原文の印刷の校正不十分のためか誤りが多く,特に付録に誤りの個所が目立ったが,これらは翻訳の際に再検討し,できる限り訂正してある.

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© 1975 特定非営利活動法人 安全工学会
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