1976 年 15 巻 5 号 p. 331-337
1975年2月16日,大協石油四日市製油所で発生した灯油タンク火災を調査検討し,出火原因についてー応の結論を得た.この製油所では公害防止のため各装置からの廃水中の悪臭成分を除去する目的で,灯油プラント中に臭水処理装置を設置し,灯油で廃水中の硫化水素等悪臭成分を抽出していた.この硫化水素等を抽出した灯油をタンクに蓄えておいたため,硫化水素が揮発し,タンク空間部に滞留し,タンク壁面,ビーム類等を腐食させると同時に,可燃性混合気を形成した.これらのことより,このタンク火災は天侯急変等が引き金となり,ビーム類が落下し,その衡撃により硫化水素を含む可燃性混合気が着火し,さらにその火炎により,タンク壁面の腐食層にしみ込んでいた灯油が着火し,ついで液面燃焼へと発展し たものと考えられる.