安全工学
Online ISSN : 2424-0656
Print ISSN : 0570-4480
ISSN-L : 0570-4480
報文
水中に存在する硫化水銀におよぽすAgの影響
大河内正一,佐々木荘吉
著者情報
キーワード: 硫化水銀, Ag
ジャーナル フリー

1982 年 21 巻 4 号 p. 210-214

詳細
抄録

自然環境水系中で極めて難溶であり,かっ大変安定であると考えられている硫化水銀について共存イオンによる影響を検討した。その結果,Agにより硫化水銀は直ちに可溶化され,金属水銀が気相へ揮散された。 そして可溶化された水銀はその濃度が時間とともに減少した.この現象は次のように説明することができると 考えられる。 硫化水銀懸濁水溶液にAgを添加することにより硫化水銀はHg2+として溶出される。 2AgHgS→Ag2S十Hg2+

Ag(Ag/Ag,E0=0.799V)は酸化還元電位が高いことからHgSあるいは生成されたAg2Sが解離した S2-(S/S2-,E0=-0.447V)により還元されて金属銀Agを生成する.

2Ag+S2-→2Ag十S

生成されたAgは単独よりもS2-との共存で非常に還元力(Ag2S/2Ag+S2-,E0=-0.66V)を増すことか ら溶出されたHg2+は還元されてHgとして気相へ揮散される.さらにAgはHgSとも直接反応してHg を生成し,揮散する.そのため,金属水銀が揮散され,溶出された水銀の濃度も減少する。Ag+以外の他の共存イオンについては,酸化還元電位の高いFe3+により硫化水銀の可溶化が観察された.

著者関連情報
© 1982 特定非営利活動法人 安全工学会
前の記事 次の記事
feedback
Top