1982 年 21 巻 5 号 p. 280-287
鉄粉・鉄くずの大気中における自然発熱反応の初期過程を解明することは金属の発火を抑制するために重要である.鉄は湿潤状態では大きな反応性を示す.鉄粉と海水が事故によって接触し,火災を誘発したことが報告されている、本研究は鉄の反応性に関する基礎研究を行なうことを日的としている, 空気を含む塩化ナトリウム溶液中に鉄をひたし,酸業消費速度から反応速度を追跡した.反応は表面不動態化皮膜の破壊に伴う活性化によって開始され,それに酸素拡散律速の反応が後続することを見い出した,活性化が起るまでに要する時間は塩化ナトリウム濃度によって大きく影響されるが,酸素拡散律速の反応は殆んど影響を受けなかった.すなわち,表面の活性化がここで考えている反応の支配的な要索である. これ等の反応にかくされている危険性を論じた.