1982 年 21 巻 5 号 p. 288-293
発がん物質として知られるベンゾ(a)ピレン(BaP)の固定発生源として都市ごみ焼却炉を想定し,その蝉形式,処理量および除じん装置の優劣などがそれぞれ異なる四つの焼却炉について,排ガスに含まれて大気中に放出されるBaP量の測定を行なった、 その結果,ダストならびにBaPの量は,炉形式や処理能力によってかなり差があること,各個の焼却炉においても,ごみ投入後の時間経過にようて,すなわち,燃焼状態のいかんによって大きく影響牽れていることがわかった.また,他と比べて,不完全燃焼が起こり易いバッチ炉では,排ガス中のBaP量が最大非発がん量を超えていることなどから,燃焼管理や除じん装置に問題のある都市ごみ焼却炉はBaPの有力な発生源となり得ることが確かめられた.