人間はおもに視覚情報や聴覚情報を用いて周りの状況を把握し,判断を加え外界に働きかける.地下空間内での作業は,地上とは取り巻く環境条件が大きく異なり,音情報は作業者が正確で安全に作業を行うために必要である.地下空間内での音の伝搬はその伝搬過程で地上と異なる諸要因の影響を受け,伝搬形態に差異が生じることが想像される,音情報の正確な伝達には作業環境の音響伝搬特性を知ることは重要である。そこで,通気のある坑道内で音響伝搬特性を計測する実験と被験者による音声情報の聴取試験を行った.その結果,音の伝搬方向と通気方向の相対的関係で伝搬形態が大きく異なり,風下方向で減衰量が大きく音声情報の聴取率も急速に低下した、また,坑道内の音の伝搬に音線モデルを適用し,音響エネルギーの観点から上記の実験結果を裏付けた.