わが国の沿岸海域,特に閉鎖性海域の環境や生態系は,高度経済成長期の大量生産・大量消費・大量廃棄という社会経済体制のもとに,著しく損なわれてきた.しかし,海の環境は主として水質によって評価され,生態系の評価基準はほとんど整備されていなかった.このような状況に対し,最近になって,海の環境や生態系のあり方を「海の健康診断」として包括的に評価する手法が提案された.わが国の閉鎖性海域の健康状態を概観するため,「海の健康診断」の一次検査の手法を88 閉鎖性海域に適用した結果,「生態系の安定性」,「物質循環の円滑さ」のいずれの観点においても,悪化状態が著しいことが判明した.