沿岸域の環境修復において,水質や底質の改善を目指した物理・化学・生物学的手法が提案され実用化されてきたが,最近では,干潟・藻場などのまとまりのある生物生息空間の整備に方向がシフトしつつある.さらに,要素技術の組み合わせ方や,さまざまな技術の空間配置の仕方などにも注目が集まるようになってきた.また,自然再生推進法に明快に打ち出された「順応的な取組み」手法のように,修復事業における一連の手順のシステム化,という新しい流れがある.本稿では個々の修復技術を分類・整理するとともに,それらの技術要素の組合せや空間配置,修復の計画段階から管理に至る修復手順のシステム化,という課題について概説する.