福島原発事故の重大性を思うと,われわれは日ごろ疑わないでいる安全規範を,見直す必要がある.リスクアセスメント規格(JIS B 9702)に,「許容可能なリスク」が出てくる.この規格は,「データベース作りの反復,累積的アセスメント」のためのもので,安全性の達成には,これとは別に,「現場の即時のアセスメント」が不可欠である.人を死傷させるリスクは絶対に許容されないのが基本であり,「許容可能なリスク」を認める判断には説明責任を伴う.そのことに気づかせたのは「安全文化」である.「安全文化」の実現を担うのは,モラルの意識や,職務上の使命感を持ち,汗を流して日々,業務に従事する人間である.安全の工学・技術は,そのような全一体としての人間を取り入れる枠組みを持つべきである.