安全工学
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53 巻, 4 号
安全工学_2014_4
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会告
安全への提言
総説
  • 岸本 充生
    2014 年 53 巻 4 号 p. 214-219
    発行日: 2014/08/15
    公開日: 2016/07/30
    ジャーナル フリー

    自然災害起因の産業事故はNatech と呼ばれ,自然災害と産業事故の間をつなぐ新しい分野として研究が進められている.本稿ではNatech 概念を紹介するとともに,前半において,Natech 文脈における,リスクとレジリエンスの概念を整理するとともに,Natech リスク評価のプロセスやスコープの拡大について概説した.後半では,重要な事故を起点として,主に専門家の認知が変化し,法規制ギャップの調査が実施され,その結果に基づき,法規制が更新される,というサイクル・モデルを紹介するとともに,戦後のNatech 規制の更新の歴史的経緯を,このモデルを念頭に置きながら,屋外石油タンク,高圧ガス施設,石油コンビナートを対象に整理した.

  • 杉本 泰治
    2014 年 53 巻 4 号 p. 220-227
    発行日: 2014/08/15
    公開日: 2016/07/30
    ジャーナル フリー

    福島原発事故の重大性を思うと,われわれは日ごろ疑わないでいる安全規範を,見直す必要がある.リスクアセスメント規格(JIS B 9702)に,「許容可能なリスク」が出てくる.この規格は,「データベース作りの反復,累積的アセスメント」のためのもので,安全性の達成には,これとは別に,「現場の即時のアセスメント」が不可欠である.人を死傷させるリスクは絶対に許容されないのが基本であり,「許容可能なリスク」を認める判断には説明責任を伴う.そのことに気づかせたのは「安全文化」である.「安全文化」の実現を担うのは,モラルの意識や,職務上の使命感を持ち,汗を流して日々,業務に従事する人間である.安全の工学・技術は,そのような全一体としての人間を取り入れる枠組みを持つべきである.

  • 勢登 俊明
    2014 年 53 巻 4 号 p. 228-233
    発行日: 2014/08/15
    公開日: 2016/07/30
    ジャーナル フリー

    山口県では,平成23 年,24 年にコンビナート重大事故が相次いで発生し,また,南海トラフ地震に備えるため,総合的な防災対策の構築を目的とし,三つの事業を柱にした検討会を設置した. この柱の一つ「総合防災診断」は,事業所の潜在的な課題を洗い出し,対策を検討するものであるが,最大の特徴は,コンビナートの現場を支える運転部門・設備部門等の管理職・運転員に対し,ヒアリングを行い,「現場の声」を拾い上げた点である. この声は,現場の実態や悩みを浮き彫りにさせ,「人」・「設備」・「手順」・「保全」の多面的分析,時代背景を関連付けた診断を行い,現代のコンビナート事業所が抱える課題を整理し,これからの対策を示した.

  • 永翁 龍一
    2014 年 53 巻 4 号 p. 234-243
    発行日: 2014/08/15
    公開日: 2016/07/30
    ジャーナル フリー

    冷凍空調機の冷媒などの用途に広く使用されてきたハイドロフルオロカーボン(HFC)は温室効果が極めて高いため,京都議定書において将来に向けて段階的削減が義務づけられている.これに伴い,温室効果の低い冷媒の実用化へ向けた研究開発が待たれているが,それらの候補となる物質はその大半が可燃性を有し,普及に際しての大きな障害となっている.特に,換気の乏しい居住空間での漏洩拡散と着火等による安全性への懸念については早急に解決されなければならない.本稿では,モントリオール議定書や京都議定書に関連した冷媒の転換の経緯を振り返りつつ,可燃性冷媒の導入の必然性について紹介する.可燃性冷媒の漏洩に対する安全性の評価に資するべく,気体の漏洩に対する数値予測モデルを構築し,そのモデルと数値流体力学手法を組み合わせて漏洩濃度の時間発展を推定する.最終的には,可燃性気体漏洩に対する安全性評価のための基礎的知見を得るための漏洩解析手法の一つとして,本解析手法を提案する.

資料
  • 高木 伸夫
    2014 年 53 巻 4 号 p. 244-251
    発行日: 2014/08/15
    公開日: 2016/07/30
    ジャーナル フリー

    近年,化学産業のみならず化学産業以外においても非定常な運転や操作において重大事故が発生している.プロセスプラントにおける危険源を特定する手法としてHAZOP が広く知られており,連続プロセスの定常運転を対象として広く活用されている.しかし,プラントのスタートアップ/シャットダウン操作やバッチ反応プロセスは時間とともに運転状態が変化すること,また,連続プロセスと異なりオペレータによる現場での手動弁の開閉操作やポンプ起動,停止操作などがなされることが多い非定常な運転形態といえる.安全で安定な操作にあたっては運転操作にオペレータが大きく関与するという特性を考慮に入れて危険源を洗い出すことが必要であるが,これに対する危険性評価の方法に関する資料があまり見受けられない.そこで本稿では,スタートアップや加熱炉の点火操作,バッチ反応など非定常な運転や操作における危険源の洗い出しにあたっての非定常HAZOP の基本手順と進め方を紹介する.

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