安全工学
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総説
安全確保の規制行政の理解 ―エンジニアに知ってほしいこと―
杉本 泰治森山 哲福田 隆文
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2022 年 61 巻 2 号 p. 81-88

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抄録

政府による規制(規制行政)は,科学技術の安全確保の成否のカギをにぎるが,エンジニアにはわかりにくい.事故の法には,事故が起きないようにする規制の法と,事故が起きてからの損害賠償の法とがある.損害賠償の法は早くから発展したが,規制法は後れた.規制法は制定されるが,それを解釈し実施に移すところの法学が,空白だった.空白が続いた原因は,法学が専門別に分化していること,法学が研究資源の多くを裁判の判例に依存すること,などがある.近年ようやく,判例に代わり,社会観察にもとづく研究によって,根本的な解明が進んでいる.本稿は,その延長上で,安全確保の規制行政の枠組みを明らかにする.合理的な規制行政の観点から取り組むべき課題は,多様であり,無限といってよいほどの広がりがあり,その一つに,法教育のあり方がある.

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© 2022 特定非営利活動法人 安全工学会
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