安全工学
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総説
エネルギー物質の共結晶化と爆発安全
井上 一樹
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2025 年 64 巻 2 号 p. 97-101

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抄録

エネルギー物質の新しい形態として , 共結晶の合成に関する報告数は近年増加している . 中でもイオン 性物質である酸化剤と燃料物質を用いたエネルギー共結晶は , 燃料物質と酸化剤が分子レベルで緊密に混 合した状態を作り出すことが出来る . 過塩素酸ナトリウムとアゾール類を対象として共結晶を合成し , 原 料の混合物との感度 , 伝爆性の違いを調べた . その結果 , 感度に変化が生じたほか , 伝爆性は大きく向上 し , 混合物は爆轟しなかったのに対して共結晶は定常爆轟した . 共結晶化は一般的な作業の中で容易に起 こりうる現象であり , 燃料と酸化剤を取り扱う研究開発や製造プロセスにおいて , 意図しない共結晶化は 感度や伝爆性の上昇を引き起こし , 爆発事故の一因となる可能性がある .

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