2025 年 64 巻 6 号 p. 421-427
カーボンニュートラル社会実現に向け , 従来にはない大規模容量のアンモニアを取り扱う設備の検討 が , 今まさに行われているところである . アンモニアは難燃性であるが , 毒性や腐食性がある . 大規模容 量のアンモニア設備でひとたび事故が起きると , アンモニア漏洩による毒性および腐食性ガス拡散の影響 が広範囲に広がり , 人的被害や環境への悪影響を引き起こす可能性がある . 一方で , 大規模容量のアンモニア設備向けに特化した設計基準や安全対策に関わる法規制は , 国内およ び海外ともにまだ十分に確立されていない . こうした操業実績が乏しい新技術を扱うプラントを検討する 際 , 事業者は何をよりどころに安全を担保することができるのであろうか ? また , 行政機関は何を基準に その設備が安全である , と評価できるのであろうか ? こうした問いの答えとして , 本稿では , 海外の石 油・化学プラントで長年適用されてきたリスクベースの安全管理手法を紹介し , アンモニア特有の法規 制 , 海外でのリスク許容基準 ,ALARP 原則 ,ALARP 実証のしくみについて整理している . 具体例として , オランダ PGS-12 と国内 CFAA 指 -001-23 の紹介 , および , 大規模容量のアンモニア設備向けに実施し た HAZID, ボウタイ分析 , 定量的リスク評価 (QRA) の概要を紹介している .