Sago Palm
Online ISSN : 2758-3074
Print ISSN : 1347-3972
研究・調査報告
フィリピン・北ミンダナオにおけるサゴヤシ生産およびサゴヤシ栽培農家の収入解析
Celiz Lani Llego岡崎 正規Josue Angero R.豊田 剛己
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2002 年 10 巻 1 号 p. 16-23

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抄録
 サゴヤシは泥炭土壌および無機質土壌のどちらにも生育し,幹に澱粉を集積する能力があることはよく知られている.しかし,フィリビン・ミンダナオでは,サゴヤシは農家の収人源となる屋根葺き材として主に利用されている.フィリピン・ミンダナオ・ミサミスオリエンタール・アルビヒットにおいて,サゴヤシバイオマス,生育密度などに関するデータを収集し,屋根葺き材生産に関する農家の収入を解析する研究を行った.アルビヒットでは,サゴヤシ葉から屋根葺き材をつくるために,3カ月ごとに1本のサゴヤシから3葉を収穫し,3ないし4葉を残す作業を繰り返しており,サゴヤシには幹の形成がみられず,結果的に,サゴヤシバイオマスはサゴヤシ葉の重量を計測することによって達成された.アルビヒットのサゴヤシ生育密度は極めて高く,ヘクタール当たり3025~4600であった.これは,アルビヒットが年間を通じて湛水条件下にあること,サゴヤシ栽培農家が新たに生育してくる吸枝を制御せず,より多くの葉を生産している意欲の表れであると判断される.ミンダナオにおける最近のサゴヤシ屋根葺き材(100枚)の市場価格は,6.24米ドルである.サゴヤシの生育密度から計算すると,サゴヤシ栽培農家のサゴヤシに関する収入は,ヘクタール当たり3,591.71米ドルで,周辺農家の純収入と比較して高いといえる.
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© 2002 サゴヤシ学会
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